
J1チームのサガン鳥栖が存続の危機ってニュースで見たけど大丈夫なの?売上とか利益とかってどうなんだろう?赤字ってあったけど本当?
今回は、2020年3月19日のスポーツニュースを騒がせた、サッカーJ1チームのサガン鳥栖の存続危機というニュースを実際にサガン鳥栖のお金事情を見て、今どのような経営状況なのか見ていきたいと思います。
ニュース記事を見ますと、資金難に陥ったのは2018年度であり、その年度はJ1チーム最多の赤字であったとの報道もあったので、今回は、2018年度のサガン鳥栖の経営情報(サガン鳥栖HPで公開しているもの)を見てきたいと思います。それではいきましょう!
サガン鳥栖の経営情報について【2018年版】
こちらがサガン鳥栖の経営情報となっています。
科目 | 2016年度 | 2017年度 | 2018年度 |
広告収入(スポンサー) | 1,631,958,000 | 1,576,352,000 | 2,296,015,000 |
入場料収入 | 553,632,000 | 631,863,000 | 678,034,000 |
Jリーグ分配金 | 191,666,000 | 444,073,000 | 346,631,000 |
アカデミー関連収入 | 95,967,000 | 97,565,000 | 94,614,000 |
物販売り上げ | 152,605,000 | 164,054,000 | 201,344,000 |
その他 | 121,170,000 | 418,030,000 | 622,121,000 |
指定管理受託収入 | 19,057,000 | 19,024,000 | 19,057,000 |
売上高合計 | 2,766,055,000 | 3,350,961,000 | 4,257,816,000 |
売上原価 | 438,174,000 | 549,465,000 | 648,948,000 |
売上総損益金額 | 2,327,881,000 | 2,801,496,000 | 3,608,868,000 |
チーム人件費 | 1,391,729,000 | 1,808,819,000 | 2,570,360,000 |
アカデミー人件費 | 85,451,000 | 91,080,000 | 100,005,000 |
本部人件費 | 134,234,000 | 142,282,000 | 141,189,000 |
試合関連費 | 324,414,000 | 347,956,000 | 419,053,000 |
アカデミー運営費 | 53,069,000 | 38,853,000 | 51,012,000 |
Jリーグ関連費 | 53,184,000 | 55,750,000 | 56,666,000 |
一般管理費 | 304,665,000 | 307,456,000 | 406,597,000 |
販売管理費用 | 2,346,746,000 | 2,792,196,000 | 3,744,882,000 |
営業損益金額 | -18,865,000 | 9,300,000 | -136,014,000 |
営業外収益合計 | 31,662,000 | 3,676,000 | 8,139,000 |
営業外費用 | 2,058,000 | 2,186,000 | 452,855,000 |
経常損益金額 | 10,739,000 | 10,790,000 | -580,730,000 |
税引前当期純損益金額 | 10,739,000 | 10,790,000 | -580,730,000 |
法人税・住民税及び事業税 | 1,059,000 | 7,904,000 | 1,059,000 |
当期純損益金額 | 9,680,000 | 2,886,000 | -581,789,000 |
上記のように2018年度に関しましては、約5億8000万円ほどの赤字となっています。
続いて各項目について動きわかりやすい部分をより詳しく見ていきたいと思います。
売り上げの部(収入について)
広告収入(スポンサー)
広告収入は、表を見ていただくと収入の部で一番の割合を占めています。22.96億円と、合計の売上高42.57憶円の半分以上をこのスポンサー収入で得ています。
また、2018年度は、大幅に売り上げが伸びている年だとわかるかと思います。
広告収入の売り上げランキングは、サガン鳥栖Jリーグ全体の4位の売り上げを残しています。
Jリーグ分配金
Jリーグ分配金は、Jリーグの各チームの成績によってもらえる額が変わる収入になっています。
2017年度から、映像配信会社「DAZN」がJリーグの放映権を得たことにより、DAZNマネーにより、成績を残したチームには、多くの分配金を得ることができるようになりました。
サガン鳥栖の収入グラフを見ると2017年度から2018年度にかけて、1億円近く減少しています。
これは2017年はJリーグ8位だったのが、2018年は、14位を順位が下がったことによりこの収入が下がったことが言えます。
売上高の合計
売上高の合計も約37億円。前年度より約10億円アップしています。この37億円という数字はJリーグ全体的に見ても9位という数字を残しています。(2018年度の試合成績は14位)

こんなに売り上げてて、なんで赤字になったの?
続いての支出の部分を見れば、それが分かります。ではいきましょう。
支出の部(販売管理費用)
チーム人件費
チーム人件費が2018年度は約7億円ほど増加し25億円となっています。支出の合計が、37億円の内半数以上がこの人件費となっています。ここまで増えた理由は有名選手2名を獲得したためです。
①フェルナンド・トーレス(元スペン代表)
2018年途中から加わった世界的にも有名な選手を獲得しました。年俸はチーム最多の8億円
②金崎夢生(元日本代表)
こちらも2018年途中に加わった元日本代表のフォワードの選手です。年俸は、1億5000万円
これまでのこの二人が加入前のチーム最多の年俸額は、4000万円でしたので、
この二人の獲得にチームとしてかなりの資金を使ったことが分かります。
そのため人件費も上がっているのです。
全体(支出の合計)
人件費などの合計をすべて合わせると、約37億円の支出なります。
売り上げの合計額は約36億円ですので、約1億円近くの赤字が発生しています。
表に記載されている数字は、「営業」に関する支出でしたが、それ以外の支出額合わせると、合計で約5億8000万円近くの赤字を2018年度記録したこととなります。

ちなみに2018年度赤字になったJ1チームはサガン鳥栖以外にも
コンサドーレ札幌・ベガルタ仙台・清水エスパルス・サンフレッチェ広島と意外と多いんです。
赤字となった理由について
赤字となった理由は大きく二つあります。
高額選手を獲得した支出よりも、売り上げがそこまで伸びなかった
2018年度に増加した収入は広告収入・入場料収入・物販売上・その他収入・指定管理受託収入
となっています。これらの増加した合計金額は、約9.8億円となります。
Jリーグ分配金・アカデミー関連費は2018年度では、下がってしまい、前年度からアップしたのは
最終的に約9億円に収まっています。
高額選手を獲得したことで、ニュースでも取り上げられ、知名度も上がり、多くのスポンサーも集まったかと思いますが、想定よりも上がらなかったため、赤字に陥ったと推測できます。
Jリーグ分配金での収入が落ちたこと
一番の理由はこれだと推測できます。試合の成績によりもらえる額の変わる分配金が2018年度は、14位と下がってしまい、約1億円収入が落ちました。
高額選手を獲得したころは、サガン鳥栖は17位であり、二人の獲得により、成績が伸びるかと思われましたが、最終的には14位となり、分配金の収入が落ち、結果的に支出が多くなりました。

今の現状は分かったから、今後はどうなるの?大丈夫なの?
次は今後どのようになるのか、数字を見て推測したいと思います。
Jリーグチェアマン・社長も問題ないと言っているから大丈夫!
Jリーグチェアマンである村井氏も言及しており、「破綻する不安は100%ない」と断言しています。
サガン鳥栖の社長である竹原氏も「資金がショートする恐れは当面ない」と言っていることから、
問題はないかと思います。
またニュースでは、スポンサーが撤退していると報道もありましたが、スポンサーのめどは立っており、ただ現在の状況下では、発表できていない旨も発言しています。
ここまで言っているので存続が危ぶまれることはないかと思います。
数字の視点から見てもしっかりとサガン鳥栖は対策をしていることが分かります。
選手人件費を削減し、より育成に力を入れた
高額選手獲得により人件費(選手年俸の合計)は、2018・2019年度はそれぞれ約13億円近くかかっていました。しかし2020年度の人件費(選手年俸の合計)は、約5億8000万円に抑えています。
約8億円もの支出を抑えています。これはかなり大きいですよね。安心です!
そして今後の方針としては、高額選手の獲得ではなく、若手選手の育成に力を入れていくという方針にシフト変更していくと明言しています。実はこのシフトへ移行するのが、支出からも少し見ることができるんです。
科目 | 2016年度 | 2017年度 | 2018年度 |
アカデミー人件費 | 85,451,000 | 91,080,000 | 100,005,000 |
アカデミー運営費 | 53,069,000 | 38,853,000 | 51,012,000 |
年々、育成にかかわる支出を増やしているんです。ここからわかるように高額選手も大事だが、
きちんと若手選手育成のための投資も行っていることから、育成への方向転換も現実的だと思います
入場料収入に貢献できるスター選手がまだいる
フェルナンド・トーレス選手は引退し、スター選手がいないと思われるかもしれませんが、まだお客さんを呼べる選手はいます!
①金崎夢生
フェルナンド・トーレス選手と同時期に来た選手です。今年も残留してくれています。
元日本代表であり、以前所属していた鹿島アントラーズでも活躍しているJリーグきってのスター選手です。
しかし
4月2日衝撃なニュースが・・・
なんとJ1名古屋グランパスへの期限付きの移籍が決まりました・・・
②豊田陽平
サガン鳥栖をJ1にあげた立役者が今シーズンも健在です。リーグ通算100得点まであと少しの選手。
日本代表でも得点を記録している選手です。
以上のような知名度のある選手がサガン鳥栖にはまだまだいます!
活躍次第では、お客さんも多く集まり、入場収入も増えると思います!
まとめ
ここまで、サガン鳥栖の経営情報を見て、今の現状を振り返り、赤字となった理由、実際の存続についてお話ししました。
結論としては、大丈夫ということです。ただ早くコロナが収束し、リーグ開催になり、安定的に収入が得れれるようになるといいですね!
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